Kai's English Room

僕は、英語が大好き。日本で独学で英語を勉強して、英検1級に合格。今も英語を教えています。

自分にもっと優しく(大坂なおみの葛藤)

 大坂なおみ選手、今年の全米オープンは3回戦敗退。試合後の記者会見で涙を流しながら「テニスからはしばらく離れます」と発言。全仏で記者会見を拒否して物議をかもした後、「うつに悩まされている」と公表した大坂選手。最近twitterで現在の心境を述べていた。

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 平易でわかりやすい英語ですね。悩みながらも、前へ進もうとする意志を感じます。

 twitterではまず「自己評価の低さ」「自信のなさ」を自己分析しています。

「なぜいつもこんな風に感じてしまうのか、最近自問自答していて理由のひとつに気が付いた。」「心の奥でいつも”私はダメな人間だ”と思っている。」

「自分を”よくやった”と褒めたことは一度もない」「いつも”お前はダメだ””まだまだだ”と自分に言い聞かせている」

「謙虚だと言われたけど、実は自分を卑下しているだけ」

 英語の点では、

 suck

suckは俗語で、学校では教えてくれませんが、よく聞きます。「ひどい、ムカツク、どうしようもないクズだ」=very bad  使うのはやめた方が無難かも。(例)This job sucks.

I could do better.

「もっとやれるはず」「まだまだこんなんじゃいけない」couldは仮定法なので、この文は過去の話ではなく、現在のこと。

self deprecating

「自分を卑下する」=critical of oneself

  そのあと、「これからはもっと自分を褒めようと思う。」「みんなもそうした方がいいよ」と続けます。

例えば、「朝ちゃんと起きて、後回しにしないでやるべき事を済ませた?すごいじゃん!」「仕事で懸案になっていた事を片付けた?すばらしい!」

 英語を見ましょう。

procrastinate  (やるべきことを)ぐずぐず引き延ばす=put off

bug=bother 悩ます

 ここで大事なメッセージ

You life is your own and you shouldn't value yourself on other people's standards.

「自分の人生なんだから、他人の価値基準で自分を評価しないこと」

 そして、もう他人の期待を背負うのは無理だと宣言。

最後に「朝、起きられたら、もうそれだけで”勝ち”だよ」

 ここからは僕個人の感想です。

 僕が大坂選手の言葉に惹かれるのは、自分にも性格的に似たところがあると感じるからです。僕は小さいころから「いい子」のふりをして、親や先生、世間の言う通り「優等生」として生きてきて、いつも「まだまだこんなんじゃダメだ」という内面の声がしていました。でも、あるところからもう「優等生」でいることが能力的にも精神的にもできなくなりました。もう「誰かを喜ばす」「他人の期待に応える」ために「完璧を目指す」生き方が破綻したのです。頭の中を幾千、幾万の「声」が占拠し、大げさでなく1分、1秒を生きるのがつらくなりました。大学を休学して長い長い「引きこもり」。そこから生還できたのは、ある日突然「自分の人生だから好きなことをやろう」と思ったからです。

 相田みつおさんの「幸せは自分の心が決める」という詩が好きです。それでも最近は「他人の基準」で自分を評価している自分に気づくことばかりですが。

ここで、2021年3月31日の「手放す」と言う記事でも触れた吉野弘さんの「奈々子に」という詩を引用します。

 

奈々子に  吉野弘

赤い林檎の頬をして
眠っている 奈々子

お前のお母さんの頬の赤さは
そっくり
奈々子の頬にいってしまって
ひところのお母さんの
つややかな頬は少し青ざめた
お父さんにもちょっと
酸っぱい思いがふえた

唐突だが
奈々子
お父さんは お前に
多くを期待しないだろう
ひとが
ほかからの期待に応えようとして
どんなに
自分を駄目にしてしまうか
お父さんは
はっきり
知ってしまったから

お父さんが
お前にあげたいものは
健康と
自分を愛する心だ

ひとが
ひとでなくなるのは
自分を愛することをやめるときだ

自分を愛することをやめるとき
ひとは
他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう

自分があるとき
他人があり
世界がある

お父さんにも
お母さんにも
酸っぱい苦労が増えた
苦労は
今は
お前にあげられない

お前にあげたいものは
香りのよい健康と
かちとるにむづかしく
はぐくむにむづかしい
自分を愛する心だ

 大坂選手は自分の内面の葛藤を隠さずに公表していて、とても人間臭くて好きです。そんなことをするスーパースターは他にいません。「アスリートのメンタルヘルス」保護に一石を投じるためでもあると僕は思います。

 さて、今日僕はちゃんと朝起きて、ブログも書いたし、上出来!