Kai's English Room

僕は、英語が大好き。日本で独学で英語を勉強して、英検1級に合格。今も英語を教えています。

アイガリ・テケ

年末のテレビ東京「日本球界速球王BEST50」は、面白かった。日本のプロ野球で活躍した歴代名投手の中で、最高の速球派投手は誰か、を決める番組だった。王、長嶋、金田が現役のころから永年プロ野球を見続けてきた僕は、この問いに即答できる。あの人しかいないでしょう。

江夏豊。田淵とバッテリーを組んでいた阪神タイガースのエース。その後南海、広島、日本ハム、西武で抑えとして活躍。なにしろ全盛期の王貞治が、バットにかすりもしないストレート。(この番組の結論も同じで、江夏が1位でした)この伝説の名投手が、選手としての晩年、メジャーに挑戦したことがありました。結局、夢は叶わず。しかし、最後の最後まで、できることはすべてやっていました。そのひとつが、「英語」。グラウンド内での味方とのコミュニケーションは重要です。例えば、打者がバントしてきた!ボールが投手の前に転がる。投手、捕手、1塁手、3塁手、誰が捕るんだ!「俺が捕る!」「任せた!(お前が捕れ)」は、英語で何と言うのでしょう?

「俺が捕る!」は「アイガリ!」、「任せた!」は「テケ!」と言います。

何それ?英語?

文字で書くと、I got it!  Take it!

なんだ、それならわかる、と思っても、実際「アイガリ」、「テケ」と言われたら面食らうかもしれません。そう、英語の発音の難しさは、音の「変化」と「消失」。書いてある通りに発音されず、隣の音とくっついて音が「変化」したり、書いてあるのに発音されなかったり。ルールはあるのですが、「習うより慣れろ」です。

gotとitがくっついて、「ガリ」(gotitだからゴティットになりそうですが、アメリカ英語では、gotは「ガット」に近く、単語の中にある[t]の音は日本語のラ行に聞こえます。betterが「ベラ」に聞こえるように。そして最後の[t]は発音されません)

takeとitが合体して「テケ」。takeit「テイキット」が実際には最後の[t]が聞こえず、2音節で発音されるため、「テケ」と聞こえます。

NHKの番組が、江夏投手のこのメジャー挑戦を追いかけていました。その中で彼が当時使っていたノートが紹介され、その中に本人の手書きで「アイガリ」「テケ」と書いてありました。日本での栄光を捨て、一からアメリカの野球に慣れようという彼の熱意を感じました。英語の勉強も、邪念を捨て、聞こえるとおりに素直に覚えていけたらいいですね。

NHKBS1の「球辞苑」という番組に出演したレッズの秋山翔吾選手も、同じように「アイガリ」「テケ」と口にしていて、なんだか嬉しくなりました。

OK, guys, I got to go now. 「アイガラゴウ」