Kai's English Room

僕は、英語が大好き。日本で独学で英語を勉強して、英検1級に合格。今も英語を教えています。

自己責任

アメリカではつい最近、コロナウィルスの1日の感染者数が、過去最多を記録しました。死者は約225,000人で、世界最多です。にもかかわらず、トランプ大統領は、マスクもせずに、全米を飛び回り、支持者たち(これまたほとんどマスクをしていない)と密な集会を開いています。ペンス副大統領も側近の何人かがコロナに感染し、本人は「濃厚接触者」なので「隔離」が必要なのに、やはり全国を行脚しています。挙句の果てに、首席補佐官がテレビのインタビューで、「感染拡大を制御するつもりはない」と「あきらめた」「白旗を上げた」ともとれる発言をする始末。この発言に対して、Washington Postのコラムニストが噛みついています。

"You’re on your own. Try not to die."

「自己責任でやってね。(政府は責任取らないから。)がんばって死なないでね。」

筆者はこれがトランプ政権の国民へのメッセージだという。なんという無責任。なんという冷たい無関心。大統領は2月の時点からコロナは風邪のようなもので、そのうち消えてなくなると言ってきた。(今も言っている)

さて、You are on your own. は、「自分でどうにかしろ。(私は知らないよ)」つまり「自己責任でやれ」何かあっても私(たち)の責任ではない、ということ。

この場合は、

「コロナに感染しても、死んでも、政府の責任じゃないから。自分のことは自分で守ってね。せいぜいがんばって死なないようにしてね」

同じような表現が、アメリカでよく見るsignの中にある。

"No Lifeguard on Duty

Swim at your own risk"

(監視員はいません。泳ぐなら自己責任で

at your own risk「自己責任で」

これも、「泳ぐのは勝手だけど、何かあっても当方は

一切責任を負いません」という意味で、実際裁判になった時のための「責任逃れ」

ですね。日本なら、駅のアナウンスの子供に言い聞かせるような細かい「注意」に見られるように、徹底的に「ダメダメ禁止!」と表現しますね。「泳ぐな!危険」「遊泳禁止!」ご丁寧に溺れている人の絵が描いてあったり。英語はDon't swimではなくSwim

「泳げ」で始まるのが面白い。

本来、国民の「生命と安全」を守るのは、政府の第一の責務のはずなのに、その責任を「放棄」して、「政府は知らねーから、あとはよろしく」とは。

「自己責任」とは、本来責任を負うべき者がそれを放棄し、個人に責任を転嫁するときに使う言葉だと思う。