Kai's English Room

僕は、英語が大好き。日本で独学で英語を勉強して、英検1級に合格。今も英語を教えています。

アジア人蔑視?

 写真をよくご覧下さい。これは、著名な中国人女性写真家Chen Man氏が、フランスの高級ブランドDiorのために撮影した写真です。上海での展示会で公開されるや、中国のネット上で批判が殺到、Diorは写真を撤去、写真家は謝罪に追い込まれました。

 この写真の何が問題なのでしょう?

 中国のネット民とメディアの批判は、

Western stereotypes of Asian faces 「西洋人が抱くアジア人の顔のステレオタイプ

Ms Chen's photos were an "insulting" portrayal of what those in the West believed Chinese women looked like. 「欧米人が抱く、中国人女性の侮辱的なイメージ」

This is how Western people think we look 「欧米人の眼からみた私たち」

 西洋には昔から、「アジア人の顔」というと、「目が小さくて吊り上がっている」という差別的なステレオタイプがある。(日本人の西洋人イメージ=金髪で青い目というのも、裏返しの差別的イメージ)この写真と、同写真家の過去の作品は、このステレオタイプに媚びたものだという批判です。(Chen Man had played up to this.  play up to...は、「~に媚びへつらう」) Chen Man氏は、ヴォーグ、エル、コスモポリタンなどで活躍しています。

 一方で、中国人ネットユーザーの中に異論もあります。

"Why can't a Chinese woman with small eyes also be considered beautiful? I don't see any problem with this."

「目の小さな中国人女性も美しいとなぜ思えないの?」「この写真には何の問題もない」

 ありのままの中国人女性の美しさを見よう!という主張です。このBBCの記事によると、中国では、「色白で、お目々パッチリ」が理想の女性美だとあります。

Fair skin and large eyes are typically considered ideal beauty features in China 

日本でもそうですね、でもこれは「西洋コンプレックス」なのかも?

 What do YOU think?

blah, blah, blah

 気候変動対策を話し合う国連の会議COP26が閉幕した。日本からは岸田首相も出席したが、環境NGOによる「化石賞」受賞が話題になったくらいで影が薄かった。

 「世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて、1.5℃以内に抑えるよう努力する」「2050年までに温室効果ガスの排出を実質0にすることを目指す」等の合意が得られたものの、焦点のひとつだった「石炭火力発電」に関しては、当初の「段階的廃止」(phase out)から、「段階的縮小」(phase down)に、合意文書の表現が弱められた。

これは、土壇場でインドと中国が反対したためで、世界の環境活動家、NGOから厳しい批判を招いた。

 さて、環境活動家といえば、スウェーデンのグレタさん(18歳)が有名ですね。早速、自身のtwitterで、COP26を痛烈に批判しています。

「COP26が終わった。一言でまとめれば、口ばっかり。ベラベラと下らないおしゃべりに終始した」「本当の仕事は、会議場の外で続いていく。私たちは、諦めない。決して。」

政治家のやっていることは、口先ばかりの「空手形」で、実行が伴っていない。中身がない、約束しても守らない、という辛辣な非難です。

 blah, blah, blah   

下らないおしゃべり、たわごと、馬鹿げたこと=nonsense

音が面白いですね。擬声語です。日本語の「ベラベラ」に似てますね。

話の内容が「クダラナイ、退屈、どうでもいいこと」なので、あえてちゃんと言う価値がない。そんな時に、批判や皮肉を込めてblah, blah, blah. よく聞く表現です。

 誰かの話を紹介していて、途中から嫌になって、「とかなんとか」「うんぬん」「ああでもない、こうでもない」と言うときにも便利。

 グレタさんは、“Small steps in the right direction”, “making some progress” or “winning slowly” equals losing. (「ささやかだが、正しい方向への一歩」「ある程度の進歩」「ゆっくり勝利に向かっている」は、負けに等しい)と言っています。

 一方、このよう性急な姿勢が、一部で次のように批判されてもいます。

「COP26は一定の成果を上げた。すべてを否定しても意味がない。環境NGOは、ただ批判するだけで、具体的な提案もない。そもそも外交交渉とは妥協することだ」

 でもね、「性急」なのは、当然だよ。だって、もう地球には時間がないんだから。これは、訓練ではない。非常事態なんだ。もう、ウルトラマンのカラータイマーは点滅を始めている。

"This is not a drill. It's code red for the Earth." (グレタさんらが会議参加者に向けて発表したopen letterから)

どこまで話したっけ?

 今回から、「会話の基本表現」も取り上げていきます。

ではまず、ニュージーランドのアーダーン首相についてのニュースをご覧ください。

政治家として評価の高いアーダーン首相が、国民に向けてコロナ対策の変更について、

Facebookの生配信で、説明していました。そこに、”Mummy”の声。首相の3歳の娘です。「もう寝る時間でしょ?」「すぐベッドに行ってあげるから」

「同居の母が育児を手伝ってくれています」「どこまで話しましたっけ?」

 なんてチャーミングな首相なんでしょう。「ママは総理大臣」なんですね。

コロナ禍のリモートワークで、自宅での仕事と育児の両立に悩む親が世界中にたくさんいます。多くの人がこのニュースに共感しました。

 英語的には、あまり馴染みの無いNZの英語なので、聞き取りは難しいですね。

bedが、「ビード」みたいに発音されています。nannyとnanaはいずれもイギリス系の英語で「おばあちゃん」(幼児語

 さて、「会話の基本表現」です。首相の最後のセリフ

"Where were we?"

「どこまで話したっけ?」「なんの話だっけ?」

会話の途中で、中断したり、話が本題からそれた時に元の話に戻るために使います。

=What were we talking about?です。

ポイントはwereと過去形になっていること。「ここはどこ?」ではないのです。

"Where was I?"の形も使います。

 学校の先生が、授業の冒頭、「この前はどこまで行ったかな?」と言うときは、

"Where were we last time?"

 僕はよく、自分で宿題を出しておいて忘れてしまいます。そんな時、「先生、前回宿題がありました」と教えてくれる学生がたまにいます。そんな時は僕はこう言います。

”Thank you for reminding me.”

前回の授業の進み具合は、テキストに付箋を付けて記録しているのですが、たまに付箋が落ちたりして・・・

Ah...where were we?

トヨタは世界最低?

 地球の温暖化を話し合う国際会議COP26がイギリス・グラスゴーで開かれている。

産業革命以降の世界の平均気温の上昇を1.5℃以内に抑える」ためには、2050年にまでにcarbon neutral (温室効果ガスの排出を実質0にする)を達成しなければならない。もう残り時間はほとんどない。岸田首相もこの会議でスピーチをしたが、石炭火力発電を今後も継続すると述べたため、環境NGOから不名誉な「化石賞」を2年連続で受賞する羽目になってしまった。

 COP26に合わせて、greenpeaceが「世界の主要自動車メーカーの脱炭素への取り組みランキング」を発表した。この中で、世界最大の自動車メーカー・トヨタは残念ながら最下位だった。ハイブリッド車固執し、電気自動車EVへの取り組みが不十分だとされたのが大きい。各国へのロビー活動(温室効果ガス排出基準の緩和を求めたりしたという)も減点対象だった。

 

 さて、ブログ記事の方の冒頭を見てください。

New research from Greenpeace East Asia analyzed the world’s top 10 automakers’ decarbonisation efforts.

グリーンピース・東アジアは、世界の10大自動車メーカーによる脱炭素への取り組みを新たに調査した)

今や流行語になった「脱炭素」を英語で言うと、

decarbonization (decarbonisation)

つづりはどちらでもOKです。

carbonは炭素ですね。de-は「反対・除去」の接頭辞。例えば、

demerit(meritの反対) decode(暗号=codeを解読する)  debone(肉や魚の骨を取る) detox(デトックス!)

だから「炭素」を「取り除く」→「脱炭素」となります。

「脱炭素社会」なら、a decarbonized society

または、a carbon-free society です。

 Greenpeace East Asia auto industry senior project manager Ada Kong

さんは、こう言っています。

The auto manufacturers are too slow, while the climate can’t wait. 

(各自動車メーカーは動きが遅すぎる。温暖化は待ったなしだ)

トヨタには、この分野で世界をリードしてほしいなあ。

となりのトトロ

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 今回から「映画の英語」というカテゴリーを設けて、僕が大好きな、そして英語学習にも役立つ映画をご紹介します。実はすでに、「異文化」のカテゴリーで「Gung Ho」(2020.12.5)と「ベストキッド」(2021.1.30)を取り上げています。

 さて今回は、「となりのトトロ」。あれ、日本語の映画じゃん?実はアメリカ公開用に、英語吹替版があるのです。上の写真のDVDにも収録されています。声優の演技のクオリティーも極めて高く、ナチュラルスピードの魅力的な英語が聴けますよ。オリジナルの日本語とはわずかに「ずれ」もありますが、そこが実は文化の違いを表していたりして、いろんな面で勉強になります。学校では習わない単語「おたまじゃくし」「どんぐり」「楠」など、メイちゃんとサツキと一緒に自然の中で冒険しながら楽しく覚えられます。

 会話の基本表現も豊富です。次の表現がパッと出てきますか?

1.あわてないで!

Don't panic.

 

2.(メイが行方不明になって、サツキが)

わたし、怖い。

I'm scared.

 

3.(お父さんを迎えにバス停に急ぐメイとサツキ)

間に合った!

We made it!

 

4.(バスを待つ間に眠くなったメイに、サツキが)

がんばって!

Just hang in there.

 

5.(朝、級友の道子がサツキを学校に迎えに来た。遅れ気味のサツキがあわてて出て行く。道子のセリフ)なんでこんなに時間かかったの?

How come you took so long?

 

6.(ぼたもちを姉妹に勧める近所のおばあちゃん。)

好きなだけお食べ。(たんとおあがり)

Eat all you want.

 

7.男の子なんて大嫌い!(サツキのセリフ)

I hate boys.

 

 さて、この映画は宮崎駿監督が所沢の里山にインスピレーションを得てできたと言われています。その間の事情がよくわかる本がこれです。監督の奥様の朱美さんの素敵なイラストが満載です。

 

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 監督がよく散歩していた「八国山(はちこくやま)」は、たまたまうちから近く、僕は毎週のようにカメラを片手に歩いています。田んぼも近くにあり、池や小川があって、雑木林がうっそうとした「里山」が今も残されています。姉妹のお母さんが入院していた「七国山病院」のモデルになった病院も雑木林の中に今もあります。カワセミルリビタキ、カブトムシやタマムシやギンヤンマといった里山の住人たちに会いに、是非いらして下さい。運が良ければトトロに会えるかも!

(下の写真は、今年2021年、八国山入口で撮影しました)

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facebookは有害?

   「フェイスブック傘下のInstagramを使っている少女たちが、自分の体型に劣等感を抱き、自尊心が持てなくなる。少女たちの自殺願望を強め、心の健康に有害である。」

米上院公聴会で元FBの社員が「facebookはこのような可能性を示唆する内部調査結果を隠蔽し、効果的な対策を取らず、なおかつ子供向けのInstagram Kidsの開発を進めている」という衝撃的な証言をしました。

 マーク・ザッカーバーグCEOは真っ向から反論していますが、同社はInstagram Kids の開発凍結に追い込まれました。

 さて、本日のイディオムは、上のtwitterの最後の部分から。

They "put their astronomical profits before people".

(FBは利用者の安全より自分たちの天文学的な利益を優先している)

put A before B

BよりAを優先する(重視する)

「 Bの前にAを置く」という訳です。

つまり、どっちが大事か、「優先順位」を明確に表現します。

よく使うイディオムで、試験にも出るヤツですね。(2020.4.24の記事でも取り上げました)

 

「夫は、仕事しか頭になくて、家族のことなんて、どうでもいい人なんです」

では、この妻の嘆きを英語にしてみましょう。

My husband puts work before family.

要するに、「優先順位」の話です。これを使うと言いたいことが

はっきり伝わります。松本道弘先生の言われる「斬れる英語」ですね。

For my husband, work comes before family.

でもOKです。

さて、あなたの人生の「優先順位」は?

たたけばほこりの出る体

「え~、私もたたけばほこりの出る体ですから」

さて、これを英語にしてください。

 ある日松本道弘先生(画面右側の「英語名人」のタブをご覧下さい)が、斎藤美津子先生(同じく「英語名人」をご覧下さい)の「英語学校」に来られて、「今から私が、日本語でスピーチするから、我こそはと思う人は、私の隣で同時通訳をしなさい」と。プロの通訳志望者の学校ですから、何人かが勇敢にも手を挙げました。私も、こんなチャンスはないと、思い切って手を挙げ、同時通訳に挑戦する二人のうちひとりに指名されました。その時の先生のスピーチの一部が上の日本語なのです。

 幸い(?)この箇所は私の担当ではなく、私よりはるかに英語のできるバイリンガルICUの学生が通訳しました。

 彼女は、同時通訳だし、人前だし、緊張していたのでしょう。とっさに

"I have dust on my body."と言って、みんなの失笑をかってしまいました。(プロ志望の集団なので、遠慮がありません。)dust on my bodyでは、「体に埃が積もっていて、不潔!」になってしまいます。

 「たたけばほこりの出る体」とは、日本語のイディオムで、

「過去を調べられると、人に言えないようなこと(秘密)がいろいろある」という意味ですね。

 ここで思い出してね。

「言葉の表面にとらわれず、言いたいこと(メッセージ)をやさしい英語でなんとか伝える」がポイントでしたね。

 「秘密がある」なら、

I also have some secrets. とか、I have some things to hide, just like you. でなんとか。

「人間だから間違うこともある」なら、

To err is human.(「過ちは人の常」ことわざです) I made some mistakes in my life, too.

I'm not perfect. I'm just human.「人間だもの」

 松本先生がこの時紹介されたのは英語のイディオムで、

I have a skeleton in the closet. 「知られたくない内輪の秘密」

物置を開けると、中から骸骨が倒れかかって・・・キャー!

ホラー映画みたいなビビッドなイメージですね。なぜここに骸骨が?いったい誰の?ふと振り向くと・・・

Longman現代英英には、以下のように説明があります。

an embarrassing or unpleasant secret about something that happened to you in the past

まさに「たたけばほこりの出る体」ですね。この表現は否定形で使いことが多いようです。

 むむむ、さすがは師。