語法(matter)
2020年5月25日、アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスで、武器を持たない黒人が、身柄拘束中に白人警官に首を膝で圧迫され、その後死亡する事件が起きた。市民が撮影したショッキングな動画がSNSで拡散し、事件に対する抗議行動が全米に拡大。一部暴動になっているところもある。
この抗議デモでよく目にするスローガンが、
Black lives matter.
「黒人の命は大切!」
matterは、ここでは動詞で、「重要である」
アメリカでは以前から、白人警官による黒人に対する過剰な暴力事件が多発しているが、その中でこのスローガンは生まれた。ただ、このスローガンに反発する人たちもいて、
All lives matter.(もっともらしいが、Black lives matter.の意図を誤解しているとか、アメリカにおける黒人差別の状況を無視しているという批判を受けている)
Blue lives matter.(警官の青い制服から、「警官の命が大切!」)
という反スローガンもある。
話は変わるが、僕がmatterで思い出すのは、南アフリカのデズモンド・ツツ大主教が来日され、日比谷公園の野音で行われた講演会を聴きに行ったときのこと。(大主教は、反アパルトヘイトの活動により、ノーベル平和賞を受賞)
講演中、「教育とは、ひとりひとりの子供に、
人種や出身や境遇にかかわらず、
You matter.
と言い続けることだ」とおっしゃったのが印象的だった。
日常生活の中で、このmatterはよく使う。
Money matters. 「お金は大事だよ」
実は否定文で使うことが多い。
Age doesn't matter. 「歳は関係ない」