サンタンゲンの呪い

学校では、一番基礎のクラスばかり担当しています。中学高校で英語が大の苦手だったという学生がほとんどです。新学期が始まり、４月、５月は、とにかく「基礎の基礎」から復習です。英語はやはり、基礎が大事。ここをおろそかにすると、進歩しません。逆に基礎をしっかり反復して身に着ければ、すぐにできようになります。実際、TOEICで３００点台だった学生が、中学の問題集から始めて、２年で８００点を超えたこともあります。「英語の基礎」といえば、文法と語彙。その中で、つまずいたままの人が多いのが、「三単現」です。

いつ動詞にsをつけるのか、「いまいちよくわからない」。

「三単現」は「三人称・単数・現在」ですね。主語の単数・複数はわかる。時制の現在・過去もわかる。でも三人称がわかっていない。

そもそも「人称」って何？

「人称」とは、英語を話す人の頭の中で、「世界をどう見ているか」ということ。自分を取り巻くありとあらゆるモノ・コトを区分けするやり方です。

なに、難しいことではありません。

上の図は単数の世界の場合。

私(I)の世界・・・１人称

あなた(you)の世界・・・２人称

「私」と「あなた」以外の「世界の全部」(人、物、事）・・・3人称

つまり、上の図のブルーの部分が「３人称」です。

(he, she, it, this, Japan, my phone, Mr.Kai, Kaoru, war, banana, love, butterfly, sushi, world, computer, Covid19, your mother, the meaning of life…全部３人称)

I, you以外の、この世界のありとあらゆるヒト・モノ・コトが３人称です。

上の図を、しばらく眺めて、イメージをつかんで下さい。簡単ですね。

さて、複数の世界の場合は下の図です。

単数の世界と、基本的には同じこと。

複数の時は、

私たち(we)・・・１人称

あなたたち(you)・・・２人称

weとyou以外の世界・・・３人称

 図のブルーの部分が３人称です。

結局は、英語の持つ「世界観」に関係するわけで、ちょっと面白い。

日本語の場合は、どうでしょう？「私」も「あなた」も「それ以外」も同列かな？

「わたし」がなくて、世界全部が「他人の目＝世間」で出来ていたりして・・・

それとも有名な「内」と「外」かな？

"we, Japanese"と"you, foreigners"で２層になっているかもしれないね。