Kai's English Room

僕は、英語が大好き。日本で独学で英語を勉強して、英検1級に合格。今も英語を教えています。

代名詞地獄、またはeveryの使い方

アメリカの共和党員の男性は、コロナワクチンの接種をためらう(be reluctant)傾向があるという。共和党の重鎮、上院院内総務のマコネル氏は、「ワクチンは接種すべし」と呼び掛けた。ホワイトハウスはマコネル氏に感謝し、次のように述べている。

It’s important every American do their part and get vaccinated when it’s their turn.

(国民全員が自分の役割を果たし、順番が来たらワクチンを接種することが重要だ。)

do one's part 役割(義務、任務)を果たす

これは、文法的に興味深い文です。

大事なことは、everyの使い方。

everyは「単数扱い」なので、everybody, everyone, every student...などなどeveryが付くと、動詞は単数形になります。「みんな、全員」というと、たくさんいるから「複数扱い」にしがちですが、everyは、「ひとり、ひとり」を見ている言葉なんですね。だから「単数扱い」。

Everybody loves somebody.というように。

ではなぜ、この文で、every American do となっているのか?単数扱いなら、doesでしょ?

これは、最初のIt's importantに影響されたのです。

間接的に、話し手の「要求、願望、提案」を述べる形「~が必要だ、重要だ」のパターンです。suggest+(that)+主語+(should)doと同じ意識ですね。(この型については、また改めて詳しくやります)

It is important(necessary) that+主語+(should) do

主語が~することが重要(必要)だ

importantの代わりに使える形容詞は他に、advisable, desirable, crucial, essentialなどです。

「重要だ、必要だ」というのは、人に対して、「~すべきです」と言っているわけです。だから自然にshouldが出て来る。アメリカ英語ではこのshouldを省略して、「動詞原形=do」になる、と覚えればOKです。(文法書には仮定法現在とかヘチマとか書いてありますが、忘れましょう)

さて、まとめると、It's importantに引かれて、every American should do になるところを、shouldを省略して、doが残ったと考えましょう。

もうひとつ、問題があります。

everyが「単数扱い」なら、なぜevery Americanを受ける代名詞がtheir part やtheir turnと複数になっているのか? ここが英文法のいい加減な、いや、臨機応変、自由無碍(むげ)なところです。

例えば、「みんなそれぞれ自分の意見がある。」を英語にしてみて下さい。

Eveybody has his own opinion. 昔はこれで100点だったのです。でも、「みんな」の中には、女性もいるはずなのに、"his"と男性の代名詞で女性も含めて表すのはおかしい!という意見が強くなり、では女性の代名詞も入れましょう。

Everybody has his or her own opinion.

政治的に「正しい」かも知れませんが、いちいちhis or herというのは、面倒です。

そこで、会話に限り、

Everybody has their own opinion.

という形で、文法的には変だが「まあ、いいや」となり、現在ではこれは

書き言葉でも普通に認められています。

だから今回の文でも、every American に対し、theirが使われているわけです。

 ところで僕はコロナ「ハイリスク」グループに入るので、早く接種したいです!