Kai's English Room

僕は、英語が大好き。日本で独学で英語を勉強して、英検1級に合格。今も英語を教えています。

Happy Xmas( War is Over )

「さあ、もうすぐクリスマスだね、今年はどんな年だった?コロナで大変だったねえ」で始まる(ウソ!)John LennonのHappy Xmas(War is Over)は、Wham!Last ChristmasMariah CareyのAll I Want for Christmas is Youと並んで、日本における「洋楽クリスマスソング」の定番のひとつですね。でもそこは、Johnの曲ですから、凡百のクリスマスソングとは、まったく違う、深い哲学が隠し味になっています。

さてこの曲は冒頭、ヨーコとジョンの囁きから始まります。(ボリュームを少し上げないと聞こえないかも知れません)

"Happy Xmas, Kyoko!"(ヨーコの声。Kyokoは、ヨーコと前夫の子供)

"Happy Xmas, Julian!"(ジョンの声。Julianは、ジョンと前妻の子供)

 

歌詞はすごくシンプルで、英語の聞き取りの練習にも最適。

ただ、平易な表現の奥に、ジョンレノンらしさが覗きます。

僕が注目するのは、fear(恐怖)とwrong(間違っている)

どちらもクリスマスソングには縁がないはず。(fearはyearと韻を踏ませるために使ったとか、クダラナイことは言いっこなしで)

ジョンの言うfearとは何でしょうか?「恐れのない、いい年」とはどんな年でしょう?

この曲のサブタイトルWar is Overを見てもわかるように、ジョンの頭にあったのはおそらく戦争でしょう。fearのなかでも、戦争は最もおそろしいもの。ほかには、今年のコロナのような伝染病、地震・台風・山火事・火山の噴火といった天変地異、干ばつと飢餓、原発事故などなど現代社会は案外脆いものですね。

さて、wrongです。なぜ彼は「世界は間違ってるよ!」と言うのでしょうか?

weakとstrong、richとpoorを対比させているところから、彼は「格差」に怒っているのだと思います。現在も国際的に見て、貧富の格差は開く一方で、世界の最富裕層10%が、全世界の富の40%近くを占有しているといいます。国連SDGs(持続可能な開発目標)の目標10が「人や国の不平等をなくそう」です。"Imagine"の「みんなが地球をshareしている姿を思い浮かべてごらん」というメッセージを思い出します。

最後の有名な"War is over"の部分は、「ハーレムコミュニティー合唱団」の子供たちが歌っています。「世界中の人が、”もう戦争なんか、イヤだ!”と思ったら、今この瞬間にも世界から戦争はなくなる」という力強いメッセージ。「現実はそう甘くはないよ」という声が聞こえてきそうですが、「僕はひとりじゃない」のです。ここも、"Imagine"のメッセージと響き合っています。

 

本当に来年こそは、コロナの終息した、fearのない、穏やかな一年でありますように!

皆様、Happy Xmas!